連携マネージャからのご案内

ご利用に際して必ずご一読いただきますようお願い申し上げます。

 本ARIM事業は、我が国のマテリアル研究の今後を担う「マテリアルDXプラットフォーム構想」の重要な一翼を担う文科省の事業です。本学では、ARIM事業の前身である「ナノテクノロジープラットフォーム事業」で培いました学内共通機器の外部利用に関する運営経験をベースに、令和3年度からこの新たな研究開発支援事業の運用を行なって参りました。
 本事業では、マテリアルに関する研究開発に資する利活用可能な巨大なデータベースの構築により新たなマテリアル研究開発への力強い一助とすることを目指し、これまで、ARIM事業全体として、すでに数万件に及ぶデータを利用者の皆様からいただいてきております。この後さらにハイペースでのデータ蓄積を実施するばかりでなく、有効な利活用システムの構築もすでに始まっております。これらの蓄積データの利活用は2年後を目処に本格化させる予定です。NAIST-ARIM(ナイストーエイリムと発音下さい)におきましてもご利用いただける各機器それぞれに順次データ登録が可能となるよう対応を強化して参りました。
 本ARIM事業では、データ登録に関しまして基本的な考え方が決められております。まず、得られたデータの所有権が利用者側にあるということを原則として、ご利用の申請時にデータ提供の可否を利用者にご判断いただくことになります。ARIM 事業では、データ登録に際してメタデータ入力等の若干の作業を利用者にお願いすること、加えて何より本事業に積極的にご貢献いただくことを踏まえ、データ登録いただけない場合、少し高額な料金でご利用いただくこととし二段階料金制で運営しております。NAIST-ARIM事業におきましても同様の利用料金設定としており、皆様には是非とも得られたデータの登録をお願い致します(なお、実際の利用料金は参画機関により異なります)。
 データ提供や利活用に関する現在の状況等の詳細はご要望に応じて説明させていただきます。NAIST-ARIM事務局まで、NAIST-ARIMホームページのお問い合わせよりコンタクトいただきますようお願い致します。基本的な事項については以下に簡単にまとめておりますのでご参考にしていただきたくよろしくお願い致します。

  1. 機器の利用

    機器の利用には、基本的に以下の2つの形態を用意しております。

    • 機器利用: 利用者が機器を操作、データを取得いただきます。事前の講習受講が必要です(有料)。
    • 技術代行: 事前の技術打合せに基づき、当該機器担当の技術職員が機器を操作、測定・計測を行います。
    このほか、状況に応じて利用いただけるサービス形態があります(技術補助、技術相談、共同研究)。

  2. データの登録とその後

    データの提供、その取り扱い並びにその利活用に関する本事業の取決めはホームページ上に本事業のNAISTにおける実施要領及びデータ登録約款を掲載しております。特に、データ登録に関しては正確に状況をお伝えし、利用者様のご理解をより進めていただくため、ご参考としまして関係の資料も順次準備して参ります。

  3. 利用料金設定

    データ登録及びデータ非登録のそれぞれで利用料金が変わります。これは本事業全体の方針で各参画機関それぞれに料金設定をしております。ご利用の際は事前に料金をこちらでご確認ください。

  4. データ登録時の利用者でご対応いただくこと

    データ登録に際しまして、ご利用になる機器毎に、測定試料に関するメタデータ(検体試料の出自等の情報)を利用者様ご自身で入力いただきます。入力項目は機器により異なります。この入力システムが構築中の機器に関しましては、当方で記載すべき事項をお預かりしますので、担当の技術専門職より必要情報記載の依頼を致します。データ登録の流れとしましては、得られたデータは入力いただいたメタデータを含めて構造化され、直接、データ集積拠点であるNIMSに送られます(この段階で加工された構造化データの所有権はNIMSとなります)。NIMSへのデータ移送の準備が整わない機器につきましては、構造化された加工データは本学で保管させていただきデータ移送の環境が整ったものから順次データ集積拠点NIMSに送られます。この場合、データが移送された時点で利用者様にはご連絡を差し上げます。ただし、NIMSに送られたデータは、最大、ご利用年度から2年経過した年度末まで、データの公開を猶予することができます。

  5. 利用内容報告書(User's Report)

    本事業では、利用者にはご利用後に利用内容報告書を当該Webサイトから必要事項を入力いただく形で作成、提出いただきます。これは利用次年度にWeb上で公開されます。これにつきましては本年3月にすでに利用報告書専用Webサイト(ARIM Japan WEB: 利用報告書検索)が公開されていますのでご覧下さい。入力に際しましては個々の課題について利用者にはパスワードが割り振られますので、それを用いてサイトにアクセスいただき入力していただきます。その際必要な情報はNAIST-ARIM事務局から送らせていただきます。この報告書は、特許や論文発表等の観点から公開猶予(利用年度終了後最長2年)が可能です。公開猶予希望の場合はWebサイトからの入力ではなく、所定のWORD版のファイルに内容記入の上NAIST-ARIM事務局に電子ファイルでご提出ください。なお、本学には独自の制度で非公開型の同様の技術サービスを提供する制度(受託試験制度)がありますこと申し添えます。

  6. ナノテクノロジープラットフォーム事業のご利用者へ

    ナノテクノロジープラットフォーム事業時に皆様に多くご活用いただいてきました利用形態「協力研究」はデータ登録の開始に伴い終了させていただきました。従いまして、機器のご利用にはこれまでの技術代行と機器利用の2つの利用形態でご利用をお願いすることになり、支払い請求は事後となります。また、皆様の研究支援の充実化を図るために新たな利用形態として「共同研究」を追加しております。これは一般的な共同研究ではなく、ARIM事業におけるご利用の一形態で詳細はこちらをご覧ください。加えて、技術補助や技術相談につきましても内容を少し変更しております。

 NAISTでは共通機器の学外利用の便宜を図るため、希望される利用者にはリモートでの機器利用相談を行っております。更に、リモートでの測定立ち合いなどが実施可能な機器を増やす方向で準備しております。詳細はNAIST-ARIM事務局までお問い合わせください。
 NAIST-ARIM事業では、今後も質の高い研究開発支援を効率的に提供できるよう努力して参ります。マテリアル研究に関わる意味あるデータベースを構築するという極めてチャレンジングな国策事業として、これまでご利用いただきました皆様はもとより、今後利用を検討されている皆様におかれましても新事業の趣旨にご理解を賜り、是非ともデータ登録する形でご活用いただきますようお願い申し上げる次第です。

令和6年4月1日
NAISTマテリアル先端リサーチインフラ(NAIST-ARIM)事業 連携マネージャ
マテリアル研究プラットフォームセンター(Center for Materials Research Platform) 特任教授
清水 洋